なぜ豚を食べてはいけないのか、イスラム教徒に聞いてみた

イスラム教のルール

日本人のイスラム教徒はかなり少数派なので、ムスリムに対してなんとなくミステリアスなイメージがある。人によってはISISや同時多発テロなどのニュースの影響でなんとなく怖いイメージを持っているかもしれない。

イスラム教といって私たち日本人がイメージするのは、女性が布で髪を覆わないといけないとか、お酒を飲んではいけないとか、豚を食べてはいけないとか色々な戒律があるなーといった印象がある。

女性が髪をヒジャブというスカーフで覆っているのは、髪という美しい部分を隠して男性の誘惑を避けるため。

あとお酒を飲んではいけないというのはなんとなく想像できる。酔っ払っている状態は判断力を下げてよくない行いをしてしまいがちだ。

私が特に気になっていたのは「豚を食べてはいけない」というルールだ。数ある生き物の中で、なぜ豚ばかり悪者になるのか。にわとりや牛、やぎは良くて、なぜ豚だけだめなのか?そこがあまりよくわからなかった。

たまたまムスリム女性と知り合う機会があったので、思い切って聞いてみた。

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豚は人糞を食べてきた不浄な生き物

彼女は、豚はうんちを食べて育ってきたから、食べてはいけないのだという。

確かにかつては日本でも豚便所といって、人間が用を足すとそのまま豚の餌として与えて飼育するシステムがあった。雑食の豚は大便でもお構いなくむさぼるらしい。なんとも人間の消化率は他の動物に比べると低く、うんちといえども豚にとってはまだ栄養たっぷりなのだそうだ。

今でも発展途上国などでは、餌として豚に人糞を食べさせているところもある。しかし、現在の日本は豚に大便を食べさせることは衛生上禁止されている。しかし、彼女が言うには、たとえ今の人糞を食べていない豚でも、穢れているのだそうだ。

今の豚は人糞を食べていないのかもしれないが、それらの豚の祖先たちはうんちを食べて育った豚。今の豚はそのうんちを食べて育った豚たちの子孫だから、同じく不浄であるというのが彼女の答えである。

なぜムスリムは豚を食べてはいけないのか?

他にも豚を食べてはいけない理由はいくつか語られる。

・牛や鶏とくらべて、豚には寄生虫がついているリスクが高いため、健康上の理由から避けられるようになった。

・豚は体温調節のために泥の上に転がる習性があるが、泥がなければ自分の糞の上でも躊躇なく転がり、糞塗れになって不潔になりがちだから。

・牛とヤギはミルクが出るし、鶏は卵を産む。しかし豚のミルクは飲めるものではないし、卵も産まない。それなのに草や雑穀を食べて育つ牛やヤギ、鶏と比べて雑食の豚は草だけでは痩せてしまう。豚を育てるために人間の食料をあげなくてはならない割りに肉しか使い道がないゆえに非生産的だと考えられてきたから。

などの理由があるそうだ。ただ単に豚が嫌いだからいたずらに禁止しているわけではなく、筋の通った理屈がそこにある。

神が豚を食べるなと言ったら食べてはいけない

考えてみると、なぜ豚を食べてはいけないの?という疑問さえそもそもナンセンスなのかもしれない。豚を食べてはいけない、なぜならそうコーランがいってるからだ。そう神が決めたから、豚を食べてはいけないのだ。そこになぜ?とか理屈はないのだろう。神は人を超えた存在で、人ごときが神の発想をとうてい理解できようがない。そもそも理解しようという態度自体がおこがましいのかもしれない。

私はイスラム教ではないから、「なぜこんなルールができたのだろう?」「この戒律にはどんな意味があるのかな?」といろいろ、探ってしまうけれど、イスラム教徒にとって、そこに「なぜ?」はないのである。偉くて尊い神がそういうルールを決めたのであれば、ただそのルールに従うのみなのだ。

もし間違えて豚を食べてしまったら?

豚を食べないのがスタンダードなイスラム教圏にいるなら、豚肉を避けて生きることは簡単だ。しかし、一歩イスラム圏を出れば豚肉は普通に食べられている。特に日本では一見豚とは無縁な調味料やスナック菓子にもエキスが配合されていたりして、完全に避けるのは難しい。もちろん肉のみではなくエキスでも豚は禁忌である。もしイスラム教徒がアクシデントで豚を口にしてしまったら、どうなるのか、彼女に聞いてみた。

彼女によると、意図して口にしたのではないならとくに問題はないらしい。お祈りの時に神に謝ればいいのよと笑う。

母国ではイスラムの教えを守っていたムスリム男性でも、海外に出たら誘惑に負けたり、郷に入れば郷に従えと言い訳してお酒を飲んだり、自ら豚肉を食べる人がいるらしい。

当たり前だが、信仰度は人によっても異なり、どうせ食べても飲んでもあとで心の中で神に謝ればいいやーというノリの人も。

ちなみに日本人男性がイスラム教徒と結婚する際は問題ないが、日本人女性がイスラム教徒と結婚する際にはイスラム教,キリスト教,ユダヤ教のどれかに改宗しなくてはならない。

同じ宗教のほうが、すれ違いが少なくなるだろうから、私が愛した人がイスラム教男性なら結婚のためにイスラム教徒に改宗する日がくるのかもしれない…。しかし生まれながらにしてイスラム教を信仰していて、お酒も豚肉も食べたことないのであればこの戒律もなんてことないかも知れないが、お酒と豚肉の美味しさを知っている私には、とても難しいことである。恋愛する相手は宗教ふくめてよく考えないといけないな、なんて思った次第である。

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