ワーホリで「お前の給料400円な」といわれた話

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カナダにワーキングホリデーで来ていた時である。

語学力のない私でも、ようやく現地で採用された!とはしゃいでいたら、オーナーから「お前の給料400円な」といわれた時の話。

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当時の私の状況とスペック

かつて私はカナダで1年間働いてもいいし観光してもいいし、一定の期間なら学校に通ってもいいというとっても自由なビザ、ワーキングホリデービザを得た。

私が当時ワーキングホリデー(略してワーホリ)で訪れた場所は、カナダのケベック州。

カナダといえば英語のイメージがあるが、実は公用語は英語とフランス語である。

ワーホリに人気のバンクーバーやトロントでは主に英語が話されているが、私が降り立ったケベック州はフランス語話者が圧倒的に多い州。

中には英語とフランス語両方の言語を話せる若者もいるものの、やはりフランス語だらけの街である。

当時の私のスペックは、

○新卒職歴なし(日本文学科卒業というカナダでは一切使えない学歴)

○英語は義務教育でやったねレベル(勉強嫌いなので成績悪し)

○フランス語は「ボンジュール」しか知らないレベル

…という「なんでわざわざカナダに来たんですか?」レベルの絶望的な状況。

でもとりあえずワーホリの1年間生き残るために、仕事探しを始めた。

カナダでの就職活動

カナダでの仕事探しは直接勤めたい企業を訪問し、プリントアウトした履歴書を手渡しするというスタイルが主流。

恥ずかしいわあ勇気いるわあとか言ってる暇もなく、生活のために履歴書を配り始める。

結局「英語が得意」という人でも言語レベルはネイティブにはかなわないわけだし、仕事を覚えたって就労が1年のみという期限がついているワーホリ勢は、一般企業の就職は難しい。

そのためワーホリの仕事は、日本でいうアルバイトのような1年で使い捨て可能なもの、具体的にはレストランやカフェなどである、という情報を得ていたので、重点を絞って履歴書配りをしていた。

ステーキ屋さんとか、ファーストフード店など現地のケベックの人(通称ケベコワ)が経営しているレストランは、履歴書持って言っても「フランス語喋れるの?」という質問で門前払い。

そう、ここケベックは英語だけではなくフランス語が必須なのである。

一見語学力がなくてもOKに見えるキッチンさえも、他のフランス語話者であるスタッフとコミュニケーションをとらないといけないため、フランス語力を求められるのだ。

また、日本だと経験がなくともレストランでは雇ってくれるものだが、こちらではなんでも「経験」を必要とされる。未経験でも丁寧に教えます!みたいな日本のアルバイト求人みたいなものはほぼない。

ところが、特別な資格も就労経験も英語力もフランス語力もない私を採用してくれるレストランがあった。

中国人経営の日本食レストランで就労ビザ付きの採用をもらう

そんな絶望的な状況でも、日本食レストランで採用をもらった。

わたしを採用した日本食レストランは中国人経営で、働いているスタッフも全員中国人。日本人は私だけ。

ケベック州では、「日本食レストラン」といえども、日本人経営や、カナダ人経営のレストランはごくわずかで、中国人や韓国人が経営していることが多い。

まあ中華料理店もべつに中華料理屋だからぜんぶ中国人であるべき!!みたいなルールはないし、日本の中華料理店だって中国人ではなく日本人オーナーのところ多いので、中国人オーナーの日本食レストランだからといって何も文句はない。

しかも中国人店長はフレンドリーだし、働いている中国人スタッフもにこやかだし、結構イイじゃん!と思った。

不安な要素を強いてあげるならば、スタッフみんな中国人だからスタッフ同士の会話が中国語で飛び交ってること。

みんな中国語でコミュニケーションとってるけど、私は中国語しゃべれませんけれどいいんですか?とちょっぴり不安だけど、みんな親切そうなかんじだし、カタコトの英語でもなんとかなるかくらいに思った。

しかも、店長いわく、就労ビザを取得するためにスポンサーになってくれるとのこと!

ワーキングホリデービザの期間は1年間だけど、就労ビザなら無事延長できればカナダに長期間の滞在も可能だし、永住権の取得のチャンスもある。

うわー!私めっちゃラッキー!!と思った。

就労ビザあげるけど時給は400円な。

採用もらった後、店長とオーナーと再度面談があった。

採用はもらったものの、いまだ給料について説明がなかった。就労ビザくれるっていうし、機嫌を損ねたくなくてなかなかこっちから聞きにくい。

でもあとで揉め事になるのも嫌なので、この際にはっきりさせておかなくては!とおもって時給はいくらなのかと聞いてみた。すると

「5ドル。」

といわれた。

え?聞き間違い??

ケベック州の最低賃金は11.25ドルだけど、その半分以下?

当時1カナダドルは80円程度。5ドルといったら日本円に換算して約400円である。

フルタイムで働いても一ヶ月の給料は700ドル。日本円で約5万6000円である。

おもいっきり法律違反じゃん!就労ビザどころの話じゃないじゃん!それに月給5万6000円でどうやって暮らしていくんだ?などなどツッコミどころ満載。

また、カナダはチップ制だが、受け取ったチップは一度そのレストランのオーナーが回収して「独自の基準で」再分配するとのこと。まあこんな具合じゃチップ収入は期待できませんね。

オーナーいわく、

銀行には法律に則った額を給料として振込むが、あとで差額分を現金で手渡しして返して欲しいとのこと。

実際に振り込んでいる額はきちんと最低賃金に則っているわけだし、手渡しだから記録に残らないし、政府に違法行為がバレない。店側は人件費も税金も浮いてウハウハである。

オーナーの言い分

「中国人がケベックでビジネスするといっぱい税金取られて大変なんだよ。いろいろ税金とか差し引いたら時給が5ドルになるんだよね」とのこと。

もうツッコミどころ満載のガバガバ理論である。

また就労ビザのスポンサーになるには適正や求人広告、賃金や労働条件などの厳しいチェックがあるし、雇用主にとって、めちゃくちゃ面倒臭いもの。

それに、外国人労働者のための就労ビザの申請をするのに、レストラン側は1000ドルを政府に申請料として支払わなければならないが、きちんと払ってくれるのかオーナーがどのような返答をするのか気になったので聞いてみると、

「I didn’t know that」と一言。

就労ビザ〜とか言ってたくせに知らなかったんかい 笑

何も知らないワーホリワーカーを騙すためにビザをチラつかせて、5ドルで働く奴隷を得ようとしていただけ感が丸出しである。

一応丁寧な感じでお断りしようと

「1ヶ月一生懸命働いても給料が700ドルじゃ今住んでるアパートの家賃さえも払えないし、生活していけないから辞退します」

と言ったところ

「じゃあもっと君にはシフト入れてあげるよ!倍の時間働いてもいいんだよ!」

とのこと 笑

スキルも語学力もない人のだから5ドルで当然?

もしかしたら、経験も語学力もないのだから5ドルで働かされて当然だろ!と思う人もいるかもしれない。

事実、カナダだけではなく、オーストラリア、イギリスなど各国で語学力も満足にないワーホリワーカーは最低賃金以下で働かされているのはよくあることで、ワーホリの間でもまあ仕方ないよねみたいな感じになっている。

しかし、私はスキルも語学力もないけど5ドルで働きたくない。

そもそもやっていることは違法であって経営者の「この人は経験も語学力もないので5ドルでいいとおもった」なんて言い訳は通用しないのだ。

しかもケベックでは違法レストランの取り締まりは年々強化されており、政府当局による抜き打ちチェックや、従業員による告発制度もある。

もしそのレストランに恨みを持って辞めた従業員が、政府当局にチクれば、そのレストランの経営者の人生終了するだけではなく、そこで銀行振込後の現金手渡しという虚偽申請に加担していた従業員も、処罰の対象になる可能性がある。

たかが5ドルのために犯罪行為に加担したくないし国外追放のリスクを背負いたくないわ。

ビザのために無給で働いている人の話

日本人の感覚からすると、時給5ドルってひどすぎるなあと思うのだけど、意外とそれでも働きたいって人はカナダにはいる。

事実あのレストランには十分な数の中国人従業員がいるのだ。

ケベックでは一定の時間内なら就労してもよい学生ビザと、就労を一切認められない学生ビザがあるが、就労を認められない学生などはこういう場所で働きがちだ。

時給5ドルとはいえども、中国の最低賃金に比べれば高い。

違法レストランは就労ビザを持っていなくても雇ってくれるし、生活費は実家からの仕送りで賄う学生のお小遣い稼ぎにはちょうど良いのだろう。

(私にだけ5ドルと提示しただけで、ほかの中国人従業員は5ドルよりも多くもらってる可能性もある)

また、私の知り合いには、就労ビザを受け取る代わりに、その会社でタダ働きをしている中国人がいる。

一定の期間就労することで、カナダの永住権を得るチャンスがあるので、おそらくそれ目当てですでに2年その会社で働いているらしい。

無給で働くってどうやって生活しているんだよ!って思うけど、その人は実家がそれなりに裕福で、生活するのに十分な仕送りがあるので、給料がないことは気にならないらしい。

普通の感覚からすると、ビザのためとはいえ、タダ働きだなんて馬鹿馬鹿しいと思うんだけど、タダ働きしてでも、治安とか制度とか恋人と離れなくないとか、いろいろな理由でカナダにしがみつきたいという人は案外多いのだ。

このように違法だろうと、給料が格安であろうと、それでもカナダで働きたいという需要があるかぎり、違法で就労させようとする経営者はいなくならないだろう。

(今回は中国人を例に挙げたが、もちろん真面目に経営している中国人レストランもあるし、違法就労は中国人だけではなく、他の国からの労働者も従事している、ということは付け足しておく。)

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